サービススタッフでも職工でも知的生産業務でも良いのですが、いわゆるライン作業(laborer)以外の業務(work)において、その仕事の質を高める方法の1つは属人性を高めることです。

属人性を高めるとは、「その人でないと出来ない状態」にするということ。

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属人性を高める方法のひとつが、組織行動論でいうところの「動機付け」です。
動機付けというと言葉が硬いですが、要はどうやって従業員のモチベーションをあげるか、と言うことです。
従業員のモチベーションをあげることで、直接的あるいは間接的に仕事の質を高めることが出来ます。

この「動機付け」にはいくつかの理論がありますが、マクレガーのX理論Y理論では『職務の拡大(担当する業務範囲の拡大)』がよく挙げられます。
ハースバーグの衛生理論では『職務充実(責任や権限の範囲の拡大)』がよく挙げられます。
どちらも、水平方向か垂直方向かの違いはありますが、業務への関わりを強める(属人性を高める)ことで従業員のモチベーションアップをはかります。

「あなたに任せるよ」と言うのは、無茶振りや丸投げでない限り、大抵はその人の自主性とやる気を 引き出します。

また、営業や接客で『この商品を買いたい』ではなく『あなたから買いたい』と言わせるスキルも、業務への属人性を高めることによって実現します。
つまり、仕事の質を高めるためには属人性を高くする必要があります。

一方で、組織としての活動を考えた場合、業務の属人性を如何に排除するかがポイントになります。
つまり、『余人を以って替えがたい業務(他の人では行えない仕事)』をどうやって少なくするか、と言うことです。

中小企業では特におざなりになりがちですが、急な離職・退職はもちろんですが、事故や病気など不慮のアクシデントも含めて、従業員の離職によって業務が滞らないような仕組みを作る必要があります。

方法的には業務の細分化とマニュアル化が代表的ですが、行き過ぎるとモチベーションの低下や、悪い意味でのマニュアル化された業務しか行えなくなり、質の低下を招きます。

また、従業員が退職することによってお客が減ることも防がねばなりません。
美容業界や夜の業界では、スタッフが独立するときにそのスタッフについているお客(指名客)を連れて行ってしまうことがよくあります。
お店からすれば大変な損失で、場合によっては死活問題にもなりかねません。

お客を引き連れての独立ではなくても、売っている商品が他所でも売っている(あるいは代用品がある)モノであれば、お気に入りの店員が居なくなったお客は別のお店でそれを買うようになるかもしれません。
マネージャ(経営者や経営幹部)は、お客様に『従業員』ではなく『お店』を選んでもらうための仕組み作りや仕掛け作りをすることが必要なのです。

マネジメント、つまり経営においては、この相反する属人性の問題、二律背反のバランスをどう取るかが重要です。

短期的には属人性を高めて仕事の質をあげることが大切ですが、長期的な視野で見て「その人が居なくなっても大丈夫」な状態も同時に作っていかなければなりません。
属人性のバランスは状況に応じてうまく調節していく必要があり、会社やお店が続く限り考え続けなければならない永遠の課題ともいえます。

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